人をつなぐエスプレッソ

 

「ゆっくりとした時間の流れを感じて、忙しい毎日をリセットしてほしい」という思いが込められたお店「時の音ESPRESSO」。その名の通りエスプレッソにこだわったお店だ。

「弘前=珈琲の街=ドリップコーヒーというイメージがあると思います。エスプレッソも楽しんでもらいたいですね」とマスターの平野秀一さんは話す。平野さんの入れるエスプレッソは渋みがなく、深いコクが味わえる。つい先日来店した海外で日本食レストランを営むお客さんにも「日本で飲んでも何か違うし、日本のエスプレッソ文化はまだまだ。だけどここのは美味しい」と言わせる本物の味だ。

 

 

 あえてテーブルを置いていない店内は、隣の席との距離がものすごく近い。そのせいあってか、マスターのいるカウンターを中心に、お客さん同士の会話が広がる。町ですれ違う〝知らない人〟は他人なのに時の音で出会う〝知らない人〟とはなぜか「知り合い」になってしまうほど会話が弾むのだ。この日、お店に居たのは別々に店を訪れた2人のカメラ女子。2人は共通の趣味であるカメラトークに花が咲き、早速お互いの連絡先を交換。

「疲れたなーと感じた時によく来ます。マスターとの話は面白いし、来れば誰かと会えるのがホッとしますね」と一眼レフを片手に話してくれた。

 そんな雰囲気に憧れて「喫茶店をやりたい」という若い子達の相談にのることも多い。

「自分の時はやりたいと思ってもエスプレッソマシーンを触る機会なんて無かったです。だから興味ある子がいれば触らせるし、経営の事も赤裸々に話します。今はメリットが無いけど将来その子がお店を開いてくれたらメリットになるかな」と平野さんは笑う。コーヒーを通じて、自分と向き合うきっかけが生まれる空間なのかもしれない。

  (記事内の情報は2014年取材当時のものです)

 

時の音ESPRESSO

住所/弘前市北横町5